9522レ SLやまぐち 白井
2009/7/4

 今日も返しの上り列車は、白井の里。ここは何度来てもあきない。もともと線路がなくて、SLが来なくても、景観のすばらしい谷あいの集落だ。田畑の手入れは行届き、辺りは緑にあふれている。日本の里の原風景が凝縮されたような地区だけにアングルは無数にあるうえ、季節ごとに表情を変えるのも魅力だ。そのためここで構図を決めようとすると、どうしても欲張ってしまい、あれもこれも画面に入れたくなる。結果、列車は小さくなり、退いた絵が多くなってしまう。それでも満足できるのは、やっぱり景色が良いせいか。
 しかも、ここに来た列車は必ず(私の知る限り)煙を吐く。スカがない。牧ヶ野の直線あたりから煙を上げてくれる機関士が多い。「SLやまぐち」にとっても、ここは最高の舞台のようだ。

 どんよりと曇った空、ときどき日が射すが、列車が来るタイミングで日があるとは限らない。どこに三脚を据えるか迷ったが、日がないことを前提に、機関車メインではなく、バックの山並みを捕らえられるように線路脇の高い位置に決めた。この場所は初めてだ。
 いつものように10台近いカメラが線路を向く。鳥のさえずりと、せせらぎの音以外は、時折通る車のエンジン音が聞こえるくらい。風も無く、多少蒸し暑いが十分凌げる。3段に折り重なるバックの山並みは、遠ざかるほど水蒸気でかすみ、手前を回り込むように来る列車の先頭は当然黒い。どこに露出を合わせようか、迷いに迷う。黒煙だけを吐くのか、蒸気が混じって灰煙になるのかでも、絵面はかわりそうだ。結論を出せずにいると列車が近づいて来た。

 牧ヶ野トンネルを出ると、音は大きくなる。灰煙を期待して、レリーズを握り締め、じっとファインダーを覗き込む。カーブの向こう側に煙が上がると爆音とともに機関車が飛び出す。1点を見つめ、シャッターを切る。ほどよい灰煙。これなら絵になる。
 谷を埋め尽くす音と煙。列車が白井トンネルに姿を消すと辺りは煙にかすみ、静寂が戻る。わずか数秒のひととき。しかし価値あるひとときだ。なにしろこのために500kmも遠征したのだから。今日も満足な時を得た。
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2009/7/4 山口線 船平山~津和野 9522レ SLやまぐち

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by kony5711 | 2009-07-08 11:41 | 山口線 | Comments(0)
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